あきらのあきらめないブログ

肩こり、背中こり、首こりと戦い、胃酸過多に苦しみ、ダイエットは得意なアラフォーを越えてしまった、オッサンです。健康になるために、あきらめず奮闘する内容を書いています。また普段は他で歴史ブログを書いています。

あきらの、あきらめられない事

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こんにちは。たなかあきらです。
毎日、いろいろと疲れますね。でも、その疲れも僕は楽しいと思うんですよ。「それ」も。

 

その男

「ふーぅっ、オレに〇〇をくれ」

ぽつりと男はつぶやいた。男はだいぶ疲れているような表情だった。左手でずり落ち気味の、眼鏡のフレームを持ち上げ、その勢いでボサッとした頭の髪の毛を、ポリポリっとかいた。

 

ぽつりと言ったので、よく聞き取れなかった。「それ」とでも言っておこうか。

後で聞いた話だが、男は、「それ」がなかなか手に入らず、かなり困っていたようだった。数週間前までは、まだ十分に持っていたはずだったのだが、男は使い果たしてしまったのである。ちょっと、調子に乗りすぎて大盤振る舞いしたようだ。

 

電車に乗っても出かけたし、街を歩いているときも、探し回ったそうだ。
男は、普段はサラリーマンをしているが、就業時間中も「それ」が頭から離れず、仕事が手につかない状態。

パソコンで業務のメールを読んでいても、うわの空で、ついつい「それ」に気が行ってしまい、はっ、と電話で我に返った。

「まさか、それが見つかったのか?」

男は勘違いして、慌てて電話に出てしまったが、そんな電話がかかってくるはずもなかった。

いかんなあ、いかん、いかん。仕事、しごとをしなくちゃ。

 

「はい、もしもし」
「急にお客さんから連絡が来て、明日かあさってに、打ち合わせをしなくちゃ、ならないんだ。君はどちらの都合がいいか?」
「ううう~ん。明日の午前中でお願いします」
「では、明日、伊勢原駅に10時15分くらいに集合にしよう」

 

業務の電話以外にかかってくるはずはなかった。

男はふうっ、とため息をついた。

いつまでこんな生活を続けるのか?こんな生活も悪いわけではないが、「それ」さえあれば、生活がもっと楽になり、余裕をもって暮らせるのに。

仕事にも、もっと集中できて、さっさと片付けられるのに。
いかんいかん、仕事中は「それ」を頭から忘れ去らないと・・・

 

「ああ~、伊勢原じゃなくて、伊勢だったらよかったのに」

男は、受話器を置いてから、ぽつりとつぶやいた。再び、男は空想の世界に入っていった。

 

今から6年ほど前、2011年の春のことだった。男は三重県の伊勢に向かった。伊勢神宮の外宮を歩いていたら、見知らぬ人と意気投合して、外宮や内宮などを一緒にまわった。「君は私の息子みたいに思えた」、と言われ鰻をごちそうになった。お互い名前や住所も交換することになく惜しみながら別れた。一人旅が、本当に一期一会の旅になった。

それ以来、男は伊勢神宮に行っていなかった。再び伊勢神宮に参拝し、今こうして生きていることに感謝したいと思っていたのである。
そして、できるのなら、「それ」が容易に手に入るように、ふんだんに手に入るように、神様にお願いしたいなあ、と思った。伊勢神宮に、久しぶりに行きたいなあ。

 

「きみ、きみ、会議は何時からだった?」

はっ、と男は我に返った。
「えっ。き、今日の会議は3時からで、第6会議室です」

いかん、いかん。仕事をしないと。ふぅ~。

 

あまり身が入らなかった1日の仕事がようやく終わり、男も帰路に向かった。男の様子を見ていると、前回に見たとき時よりも、心なしか表情は和らいでいるようにも見えた。

 

「オレにもっと〇〇をくれ」男は、再び同じことをつぶやいた。

ぽつりと言ったので、あまりよく聞き取れなかった。

 

「えっ、なんと言ったんですか」

「オレに、もっとネタをくれと言ったんだよ」 
「ネタですか?」

 

「そうなんだよ。ブログに書く記事のネタの事なんだよ」

「へえ、ブログを書いているんですね」

 

「そうなんだ。あきらのあきらめないブログっていう名前のブログさ。毎日更新しようと思って書き始めたんだけどね」

男は続けた。

 

「最近、ブログに書くネタがなくなって、かなり困っているんだ。数週間前までは、まだ十分にストックを持っていたんだけど、調子に乗って一日に2記事も3記事も投稿していたら、ネタを使い果たしてしまったよ。ちょっと、調子に乗りすぎたんだ。でも今日は、ふとしたことから発想が繋がって、全然面白くないかもしれないけど、記事にするネタが出来たよ。」

「こうしちゃいられない。すぐに文章にしよう。これも、練習練習。あきらめられないからな。じゃあな」

男は、僕に帰っていった。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 

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