僕は熱中症である。
何かをやり始めて、ツボにハマると周りが見えなくなるほど没頭してしまう。
はっと、我にかえった時に、やばい状態になっている事に気づくのである。
熱中症 その1
若い頃、特に学生の時は、ゲームにハマった。馬を育成してレースに出場させ、勝ち上がり名馬になると子孫を残せ、その子孫も育成していく、壮大な夢を繋げていくゲームである。ダービースタリオンという名前だったと思う。
このゲームに毎日の様にハマった。朝も昼も夜も、時間がある時はいつも没頭した。トイレにも行かず、食事も忘れ、寝ることすら忘れていた。ゲーム機のコントローラーを握ったまま、明け方に力尽きる日も珍しく無かった。
大学にはちゃんと行っていたようだが、激務でフラフラになり頭の中はいつもゲームの事で一杯だった。
没頭のし過ぎはよくない。熱中症になりトラブルが起きる。
いくら若い僕の体とはいえ、耐えられなくなった。
循環器をやられ呼吸困難になり、倒れてしまった。
僕は怖くなった。このままじゃ、死ぬな、と思った。
僕はゲームをやめ、生活習慣を改めた。幸い大事には至らず、元気を取り戻し、社会人になることもできた。
それ以来、僕はゲームをやっていない。熱中症は禁物である。
懲りない熱中症その2
無事に社会人になった僕は、初めのうちは熱中症の事を忘れて、平穏に暮らしていた。5年が過ぎ、10年が経っていくと、仕事を覚え、ある程度、責任を任されやり甲斐を感じてくる。会社という、アリ地獄にジワリと引き込まれていくのだ。ワーカホリックである。
朝は8時から始動し、夜は10時、11時まで事務所で残業し、仕事を持ち帰って深夜まで続きをやる。土日祝日は関係なく会社に行き、ガツガツと働く。
四六時中、仕事三昧の日々で、仕事以外は何もせず、考えることもなかった。完全に仕事の熱中症にかかってしまった。
日々、睡眠不足と疲れに悩まされ、ご飯を食べながら、箸を落としてしまうまでになった。睡眠は一週間で、24時間くらいだったと思うん。
アラフォーに近づいていた僕の体が耐えられるはずはなかった。
再び循環器の調子が悪くなり、更に精神的にも参って、うつ状態だった。それでも仕事をしようとした、恐ろしい仕事の熱中症だ。僕は病院に行き、診察を受けた。医者には大丈夫ですか、と心配された。
再び、僕は怖くなった。このままじゃ、死ぬな、と思った。
僕はワーカホリックをやめ、会社生活を改め健康を考えるようになった。幸い大事には至らず、元気を取り戻すことができた。
それ以来、僕は仕事のやり方を見直した。時間が来たら切り上げ、帰るようにした。限られた時間の中で効率化を考え、それ以外は仕事をするのをやめた。熱中症は禁物である。
学習できるか、熱中症その3
仕事だけのワーカホリック生活から一転し、プライベートの時間が取れるようになった。以前から興味のあった、イギリスの歴史を猛勉強して、ブログを書き始めた。好きな事をやるのは楽しい。やればやるほど楽しくなってくる。僕は、プライベートの時間は、歴史の勉強しているか、ブログを書いているか、どちらかになってしまった。
またもや懲りずに熱中症である。イギリス歴史の熱中症にかかってしまった。
僕は、いつも何かしらの熱中症になっている。熱中症にならないと、いられないのだ。体の中から湧き上がるエネルギーを注ぎ込む、何かが必要なのだ。
歴史の熱中症にかかると、僕は自分の中にこもるようになった。3年くらいこもりきって、歴史の勉強とブログの投稿に精を出した。
ある時、ふと周りを見回し気がついた。友達がいなくなり、1人ポツンとなっていた。最近いつ、思い切り笑ったり、はしゃいだり、羽目を外したりしただろうか。
いや、ない。
僕は寂しくなった。このままじゃ、人生楽しくない、と思った。
僕はパブに通い始めた。友達を求めて色んな人に話しかけ、1パイントのビールを何杯も楽しんだ。幸い少しずつ友達ができるようになり、元気を取り戻すことができた。
しかし、熱中症になってはいけない。
アルコホリックになってはいけない。
ホドホドにしなければならない。