忘年の意味
年末に刻々と近づいてきた。今年も残すところ、あと10日を切った。
今年1年の嫌なことや苦しかったことを忘れて、新しい気持ちで新年を迎えよう、という年を忘れる意味で、多くの忘年会が開かれる真っ最中だ。僕もそんなに多くはないが、あと数件忘年会に参加する予定である。
忘年会は、海外に行っても経験したことはない。日本の風習だろうか。いつから始まったのだろうか。簡単に調べてみた。
忘年会は室町時代の頃から始まった風習で、当初はとしわすれ、と呼ばれ、年を忘れるほど盛り上がった連歌会だったそうだ。江戸時代からは酒を飲み交わすようになり、今のような宴会スタイルになったのは明治以降で、「忘年会」の言葉が初めて文献として記されたのは、夏目漱石の「我輩は猫である」、らしい。
嫌なことは忘れて、新しい年を新鮮な気持ちで迎え、希望者に満ちて新年をスタートするのは素晴らしい。出来れば、夢ばかりみて生きたいとは思う。だけど、
年忘れで疲弊して来年に持ち越してしまったり、物忘れにはなりたくないと思う。つまり、年忘れではなく、年を思い出したいのだ。
マラソンのように一年を思い出す
今年、一年あっと言う間に過ぎてしまった気がする。今年は、何を成し得たのだろうか。成し得たものが少なく時の流れに身を任す過ぎたので、余計に一年が早く過ぎ去た様に感じるのだろうか。
希望に満ち溢れた一年のスタートだった。一年の初めに、今年の目標を掲げ、一年を象徴する言葉を決め、今年はやるぞ、と意気込んだ。一年の終わりに訪れるだろう、思い描いた栄光のゴールに向かってスタートだ。まるで、マラソンの様に清々しくワクワクしてスタートを切ったのだった。
マラソンがスタートしてからまだ間もない2月3月は、まだ希望のエネルギーが残っており、勢いはあった。地道にコツコツと目標に向い、頑張って文章を書いた。そして、ブログにどんどん投稿して行った。よし、この調子で頑張ろう。ブログのアクセス数を増やしながら、歴史ストーリーをスタートさせ、皆んなに読んでもらおう。書籍化と言う夢、目標が叶えらたら嬉しい。
4月、5月、6月は希望のエネルギーが減ってくるものの、ランナーズハイになってきた。ブログを書き続けるのが習慣になったのは良い。もっとアクセを増やしたい、その欲が強まった。アクセスが増えそうな歴史のキーワードを探し、その歴史的人物などについて書くようになった。ランナーズハイになりタイムをみ過ぎてしまったように、アクセス数にこだわる様になってしまった。学ぶことはあったが、これが後々良くなかったのかも知れない。
さあ折り返し地点を過ぎた。これから後半のスタートだ。しかし、当初持っていた希望のエネルギーは尽きてしまった。7月、8月、9月は、悩んだ。アクセスが増えない。書く記事ネタにも困り始め、ブログを続けるのが難しくなってきた。
なぜ、アクセスが増えないんだ。記事も、みんなが知っている様な人物を書いたほうが、アクセスは得やすいだろう。そう考えて、記事を書いているのに、なぜなんだ。足が棒の様になり、なかなか前に進むことができず、急速に減速して行った。僕は何のために、マラソンをやっているのだろうか。何のためにブログを書いているだろうか。だんだん分からなくなってきた。
マラソンでは、残り10キロの30キロを過ぎてからが、最も苦しい正念場と言う。10月、11月だ。疲労困ぱいし、走ることが出来なくなり、歩いてしまう。前半、調子良かった時にスピードを出しすぎた事を後悔してしまう。苦しく辛く、苦しさしかない。まだ、10キロもあるのかもうだめだ。走るのをいつやめようか、そんな考えがいつもアタマの中を駆け巡る。
同じように、僕はブログを書くことが出来なくなっていた。書こうと思うモチベーションが全く湧きおこらない。記事が書けない、何の為に記事を書くのかか、全く分からなくなった。エネルギーに満ちて、調子良く書いていた頃は何だったのだろう。
今はどうしてこんなになってしまったのか。分からないし、もうだめだ。
僕は、ブログを書く頻度が極端に落ちて、半ば断念しかかっていた。
なぜブログを書いているんだろう。
なぜ文章を書いているんだろう。
スタートもゴールも見失った、迷子のようであった。
12月になった。マラソンで言うと、最後のラストスパートである。
ゴールが見えてくると、頑張ろうと思える。
しかし、文章を書く僕は未だにもがいていた。
マラソンでは、楽しむことが前提と思う。苦しい中も、街の風景を楽しみ、応援してくれる人々の声に元気づけられ、途中の飲料などでエネルギー補給をし、ゴールに向かっていく。
僕の一年を振り返ってみると、こもり切って、ブログに集中し過ぎて、文章を書いていた様に思う。自分を振り返ることもせず、一年の最初に立てた目標や夢を忘れて、夢を叶えるためではなく、アクセスを伸ばす為にブログを書いてしまった様だ。ブログは夢に近づく為の手段なのに。
12月に入る頃、それに気がついた。僕はこの一年を思い出し、しっかりと振り返った。
初心を思い出し、夢をや目標を改めて思い描いた。以前のように、友達とも会い語り合った。スタートと自分の位置、ゴールが明らかになると、今やる事が分かってくる。目的地に向かって地図を広げているのと同じだ。僕は道中、地図を見ずにブログを書いていたのだ。
そして思った。マラソンの様に、ゴールや夢に向かって楽しもうと。楽しもうと考えると、自然とエネルギーがわいてくる。
再び、僕は走り始めた。
さあ、これから、今年の忘年だ。
来年に向かって、あと僅かな今年を存分にラストスパートするぞ!